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『復讐の幻想曲(ファンタジア)』2(ライトノベル)

 城壁が砲撃によって壊され、中の大広間がむき出しになっていた。
 そこに、飛空挺は着陸した。すかさず機体横の扉が開き、中からの四つの人影が飛び出してくる。
「潜入成功ですね、お頭」
 ニタリと笑ったのは、四人の中で一番長身の若い男だ。ツンツンと跳ねた茶色の髪、鋭い瞳、握られている槍が攻撃的な雰囲気を漂わせている。
「ヴァイド、『潜入』っていうのはねこっそり入ることだよ。これのどこが潜入なの?」
 ヴァイドと呼ばれた長身の男は、隣にいる小柄な少女に鋭い眼光を送る。
「うるせぇぞ、アイナ! だいたい、俺のことは『ヴァイド兄貴』と呼べと言ってるだろ?」
 唾を飛ばしてくるヴァイドに小柄の少女、アイナは嘆息。セミロングの黒髪を揺らし、肩をすくめた。
「呼ぶわけないでしょ? 『兄貴』っていうほど頼りにならないのに」
「またまた恥ずかしがりやがって。『ヴァイドお兄ちゃん』でもいいんだぜ?」
「呼ぶかっ!」
 アイナはヴァイドの頬に拳を叩き込んだ。
「てめっ、この……」
 槍を構えるヴァイド。対し、アイナも腰につけていた鉄の棒を組み合わせて一本の長い棒とし、身構える。
 そんな二人の間に、細身の男が入り込んだ。両掌を二人の前に差し出す。
「こらこら君達、そんなことしてる暇はないよ。ぐずぐずしてると……」
 その片眼鏡をかけた男が言い終わるより前に、大広間に何人もの人が流れ込んできた。全員銀色の鎧を着込み、剣と盾を持っている。
「ぐずぐずしてると兵士が来ちゃうよって言おうとしたんだけど、遅かったみたいだね」
「なに言ってんすか、お頭。どっちみち戦うなら、どこで戦おうと一緒ですよ!」
 ヴァイドはそう言いつつ、迫りくる兵士の一人を槍で吹き飛ばした。
「そうですよ、シェイドさん。戦って突破しましょう!」
 棒を振り回し、アイナも兵士を叩き伏せた。それから敵陣へと突っ込んでいく。
「やれやれ、二人は元気だね」
 苦笑いしながら、片眼鏡をかけた男、シェイドは背中から弓を抜き放った。矢を装填しつつ、後ろを振り返る。
「さぁ君達、行くよ! 宝物庫に向かう者、ここに残ってヴェロシティ号を守る者、二手に分かれるんだ!」
「おおぉっ!」
 背後の飛空挺、ヴェロシティ号の中から何人もの大声が轟いた。機体から、武器を持った屈強そうな男達が飛び出してくる。
 すでに大広間の出口まで達していたヴァイドが、声を張り上げる。
「よっしゃあ! シェイド盗賊団、一世一代の大仕事だ!」
「おおおおぉっ!」
 爆音のような叫び声が上がった。
 そんな部下達の様子を見ながら、シェイドは一言。
「う~ん、僕よりヴァイドくんの方がお頭らしいね……」
 その後、シェイドは隣にいる青年に顔を向けた。
「ま、いいや。とりあえず僕らも行くよ、ケンイチくん?」
「……はい」
 ケンイチと呼ばれた黒髪の青年は、黒いローブを翻らせ、駆け出した。彼に続き、シェイドも大広間の出口へと向かう。
 兵士達を退け、ヴァイド達は大広間を抜けた。真っ赤のカーペットが敷かれた広い廊下に出る。そこに、シェイドとケンイチも到着した。
「盗賊どもがいたぞー!」
 廊下の奥、シェイド達が今から向かう方角から、先程よりも多い兵士達が迫ってくる。
「ワラワラと邪魔だな、一気に突破してやるよ」
 ヴァイドが槍を前に突き出したまま静止した。しばらくして、槍の先端からバチバチと音が鳴る。雷だ。青光りする雷が刃を取り囲んでいた。
 青白い光を浴びるヴァイドの口元が、不敵な笑みを作る。
「くらいやがれ」
 ヴァイドが槍を引き、突き出す。すると、刃を纏っていた雷が弾丸のごとく飛び出していった。
 向かってきていた兵士達は、雷に当たると感電して倒れた。衣服のところどころが黒く焦げている。
「き……気をつけろ! 『調律師(チューナー)』がいるぞ!」
 攻撃を免れた兵士の一人が叫んだ。
「そうだ! 俺は『雷の霊泉(サンダ)』を操る『調律師』、ヴァイド・レインスだぁ!」
 槍を天に突き上げ、高々と宣言するヴァイド。その頭をアイナが小突く。
「カッコつけてる場合じゃないでしょ! さっさと行くよ」
「はいよ」
 走り出すヴァイドとアイナの前に、さらに兵士達が現れた。
 二人の元に、遅れてきたシェイド達が加わり、兵士達と交戦する。
 刃入り乱れる中、ケンイチだけはなにもしていなかった。戦いから少し離れた位置につっ立っている。
「おい、ケンイチ! おまえも戦えや!」
「こら新入りっ、ちゃんと働けー!」
 ヴァイドとアイナの怒号が飛ぶが、ケンイチは動かない。それどころか、進行方向とは逆の方を向く。
「すいません、皆さん。ボクはちょっと外れます。帰りに間に合わなかったら、置いていって構いません」
 言い残し、ケンイチは反対方向へ走り出した。
「ケンイチ、てめぇ!」
 叫ぶヴァイドの頭上に、兵士の剣が迫った。それを、アイナが弾く。
「ヴァイド、油断しない!」
 注意しつつ、アイナもケンイチの方を一瞥した。ケンイチの背中はもう小さくなっていた。
「ぎゃあ……!」
「!」
 悲鳴が後ろで上がり、アイナが振り返ると、そこには頭に矢の刺さった兵士がいた。しばらくして兵士は倒れる。
「ヴァイドくん、アイナくん、二人とも集中だ! ひとまずケンイチくんのことはほうっておこう。あとで無線を使って呼べばいいさ」
 言葉を投げかけながら、シェイドは何度も弓を引く。その度に、ヴァイドとアイナの周りにいた兵士達が倒れていった。放たれる矢は時に加速し、時に不規則な軌跡を描いている。
「くそっ……あの眼鏡も『調律師』だ! 警戒し……がっ!」
 他の兵士達に指示を出していた少し階級の高そうな兵士が、アイナに殴られた。
「わたしもそうだよ!」
 兵士はどんどん増えるが、シェイド盗賊団の勢いは止まらない。
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お久しぶりです♪
課題におわれて中々来れなかったんですが
また訪問させていただきました(o^^o)

こういう始まり方は好きです♪
今後どうなっていくかまた楽しみです‼

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KAWAUSOさん! お待ちしておりました!!
またまた長編を読んでくださるなんて、ゆない。は最高に嬉しいです!
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