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『カギビト』21(ライトノベル)


 薄暗い廊下。緋色は蒼眞の隣を並んで歩いていた。
「夏代さん」
 蒼眞は隣を見ないまま喋る。歩みも止めず、ただ前を向いたまま。
「な、なに?」
 蒼眞の声が少しこわ張って聞こえ、緋色は緊張した。隣にいるのが本当にいつもの蒼眞なのか、疑いたくなるくらい低い、しかしやけにはっきりとした声だった。
「トイレ我慢できますか?」
「へ?」
 思わず緋色はつまずきそうになる。ちょっとでも緊張した自分が恥ずかしい。
「あのね……氷鉤くん、普通そういうことは女の子に訊かないものだよ?」
「そうですか、すいません」
 蒼眞が頭を下げたことが気配でわかった。隣を見ることはなんとなくできない。
「それにわたしは自分の身だしなみを整えるために行くの」
 緋色は嘘をつく。実際はトイレ自体行く必要がないのだ。
「なら大丈夫ですね」
「な……」
 なにが?
 と訊こうとしたがそこで言葉は途切れた。額がなにかにぶつかったからだ。
「あ、あれ?」
 目の前にはなにもない。しかし手を伸ばすと確かになにかに触れる。前方に壁のようなものがあり、これ以上先に進むことができない。緋色はパントマイムよろしく手を動かした。
「ちょ……ちょっと氷鉤くんっ?」
 隣を歩いていたはずの蒼眞はもう随分先を歩いていた。足音がコツコツと響く。
「待って! なんか変なの!」
 蒼眞は歩みを止め、振り向いた。表情は暗がりでよく見えない。
「ちょっと待ってろ。すぐに戻る」
「!」
 緋色は言葉を失ってしまった。今喋ったのは蒼眞なのか、『クール』なのか。それとも……。
 すぐに蒼眞は見えなくなった。
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非公開コメント

なんとなく見えてきましたね~

そうかそうか。
やはり鍵は、彼か。
‘闇’を閉じ込めることが出来る人物???
羨ましい!!
そういう発想は出ないので、ものすごく新鮮です。
そして、緋色ちゃんとの対比の空気が素敵です。
更新、楽しみにしてます!!!

fateさんへ

連載にお付き合いくださり、本当に嬉しいです!
いつもコメントありがとうございます!

そうです。ついに彼の正体がわかってきますよ。
更新楽しみにしてくださり、光栄です。
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