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『カギビト』20(ライトノベル)


 シャカシャカシャカシャカ。
「なぜ僕は蒼眞くんに負けるんだ……。どうして……」
 蒼眞と正則、男子二人は相変わらず自分の世界を構築。他を寄せつけないオーラを放っている。
 一方、緋色達はというと、
「へー、愛凜ちゃんって皇(こう)桜(おう)中学なんだ」
「そ、そうです」
「じゃあ来年うちの高校の近くに来るのね」
「は、はい。多分そうなります」
 なかなか良い雰囲気だった。隣同士、長テーブルに腰かけている。愛凜が先程の失礼を謝ってから会話が弾んだのだ。
「皇桜って女子校で、たしかすごく優秀な学校なんだよね?」
「ゆ、優秀かどうかはわからないですけど、女子校です」
 愛凜は謙遜したが、皇桜大付属中学校は全国でも有数の進学校だと緋色は知っている。女子校ではそれこそ最高クラスであることも。
「来年進学したらわたしに会いにきてね」
「は、はい。その時はよろしくお願いします」
 緋色達はメールアドレスを交換した。
「緋色くん、僕にも教えてくれないかい?」
 正則が二人の間に入り込む。さっきまでの落胆はどこに行ったのか、薄い笑みを浮かべている。
「え、え~と……」
 緋色はなんと答えようか困ってしまった。教えるのは構わないが、彼の場合はしょっちゅうメールが来そうだと思ったからだ。
「わたしは教えてませんよ? ま、正則さんはなんとなく苦手です……」
 愛凜は再び緋色のスカートを掴んだ。
「愛凜ちゃん……そういうことはあんまり正直に言わない方が……」
 緋色がチラリと横を見ると、青ざめた顔の正則がいた。首を垂らして意気消沈している。
 あらら……。
 正直かわいそうだと緋色は思ったが、しかし同時に助かったという気もしていた。
 シャカシャカシャカシャカ。
 普段通りの盛大な音漏れが響く。蒼眞は椅子に座ったまま動かない。
「そういえば、せ、世名さん達遅いですね」
 愛凜は多少不安そうにドアに視線を移した。
「そうだね……」
 同様に緋色もそちらを見る。
 確かに、ただトイレに行くにしては若干時間がかかり過ぎてるよね。二人で話でもしてるのかな?
 そのことに関して、緋色には気になっていることがあった。さっき二人を見送った時に感じた違和感だ。
 シャカシャカシャカシャカ。
 しばらく黙考。そして緋色は決心した。
「わたしもちょっとトイレっ」
 席を立ち、緋色は素早く部屋を出ようとする。二人の様子を見に行くつもりだ。
 誰かが席を立つ音がした。緋色が振り返ると、そこにいたのは、
「ボクも行きます」
 ヘッドフォンをはずした蒼眞だった。蒼眞はまっすぐと緋色のところまで向かう。
「氷鉤くん? え、トイレに……一緒にっ?」
 緋色は戸惑う。この事態は予想だにしていなかった。
「……違いますよ。どうしてボクが夏代さんとトイレに行くんですか」
 蒼眞は大いにあきれた様子でメガネを押し上げた。
「じゃ、じゃあ……」
「後始末です」
 言い残し、蒼眞は部屋を出ていった。
「ちょっと待ってよっ」
 緋色も蒼眞の後に続き、部屋を出る。ドアがけたたましい音をたてて閉まった。
「あ、後始末? ライブの片づけならもう済んでるはずだけど……」
 愛凜は独り呟き、首を傾げた。
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