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『カギビト』19(ライトノベル)


 控え室からトイレに行くには、先程ライブがあったホールを抜ける必要がある。仲良く手を繋いで歩いてきた楽美と世名はホールの中央にいた。並んでステージを眺める。
「お手洗いに行くんじゃなかったんですの?」
 世名は楽美に流し目を送る。
「あはは……」
 楽美は体裁悪そうに頭をかいた。
「でも世名ちゃんはトイレ行かなくてもいいの?」
「わたくしも嘘ですわ」
 ふふっと微笑んでから、世名は優雅に髪を払った。金色に近い茶髪がふわふわ弾む。
「え? そーなの?」
 なぜ世名が嘘をつく必要があったのか、楽美にはわからなかった。
「ちょうどいいと思ったんですの。わたくし楽美さんと二人になりたかったんです」
 楽美の疑問を見透かしたように世名は告げた。
ライブの後、二人だけのだだっ広い空間に声が響く。薄暗い照明だけではお互いの詳しい表情まではわからない。
「大事な話なんですの」
 世名の声のトーンが若干下がった。彼女は目を伏せ、少し言いよどんでいる。
 楽美は身震いした。
 恐怖でではない。もちろん肌寒いわけでもない。
 歓喜。
 言いようのない、たとえようのない歓喜で、だ。
 口の端が徐々につり上がっていく。
「ふ~ん。大事な話があるんだ? ちょうどよかった。わたしもなんだ……」
「え……?」
 世名は楽美の顔を見た。暗がりでもわかる。彼女の顔は、その歪んだ表情は、笑顔なんてものではなかった。
 好意ではなく悪意。
 光ではなく闇。
 世名は身震いした。こちらはまさに恐怖で、だ。
「ら、楽美さん……?」
 問いかけにも楽美は答えない。ポケットをあさり、中から取り出したのは尖った鉄。鋭い刃を持つ物体。
「ひっ……」
 世名は身動きがとれなくなった。全身の力が抜け、床に座り込む。
 楽美の顔は変わらず邪悪を形作っている。手に持っているナイフがギラリと光った。
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