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『カギビト』11(ライトノベル)


 昼休みも半ばにさしかかったころ、緋色は廊下の一番端にいた。頭より少し上あたりに小さな窓があり、そこから吹き込む風が髪を撫でる。
「ごめーん」
 後ろから足音とともに聞き慣れた声。振り返ると緋色の予想通りの人がそこにいた。
「舞依ちゃん」
 清谷舞依は申し訳なさそうに頭をかいた。
「緋色ごめんね。キヅタクとマサハルがなかなか放してくれなくて困ったわ」
 舞依は両手を合わせて何度も頭を下げた。
 キヅタクとマサハルというのは木塚と佐山のあだ名だ。二人とも顔は微妙なのに名前だけはカッコいい、という周囲の気持ちがその名を生み出した。
「全然へーきだよ。わたしも今来たとこだから」
 舞依が必死に謝るので逆に申し訳なくなり、緋色は手をパタパタと振った。
「ふふ」
 目を細める舞依。
 緋色は余裕がなくなっている自分が恥ずかしくて、ごまかすために本題を切り出した。
「それで話って?」
 緋色を呼び出したのは舞依だった。今朝、いつものように挨拶をした後、昼休みにここに来るように頼まれたのだ。
「うんあの……」
 舞依は少し言いよどんでいる。
 緋色はなんとなく不思議な気分だった。こんな状況を以前にも経験したような気がする。
 デジャヴってやつかな?
「ごめん!」
「へ……?」
 緋色は間抜けな声を出してしまった。舞依が深々と頭を下げたからだ。
「え? 遅れたことなら大丈夫だよ?」
「違うのよ!」
「?」
 遅れたこと以外で舞依が自分に謝る理由などない。少なくとも緋色には思い浮かばなかった。
「そうじゃないのよ……」
 舞依の表情は辛そうで、緋色は自分のことのように心配になった。
「どうしたの舞依ちゃん? わたしに話して?」
 緋色は舞依をまっすぐに見つめた。舞依は頷く。
「変な話でね、あたしにもなにが『ごめん』なのかよくわからないのよ」
「……?」
 緋色は眉を寄せた。舞依が冗談っぽく笑う。
「なんだかわからないのに緋色に謝らなきゃいけない気がするの。とっても悪いことを緋色にしたような、そんな感じがするのよ。だから……ごめん」
 舞依はもう一度頭を下げた。
「あのね、舞依ちゃん」
 緋色は小窓から覗く空を眺めながら、言葉を紡ぐ。
「わたしは舞依ちゃんが好きだよ。親友だと思ってる。だから舞依ちゃんがわたしにひどいことするなんて思わない。でも、それでも舞依ちゃんが謝りたいって言うなら、その時わたしは許すよ。ううん、たとえひどいことをしたとしてもわたしはきっと許すと思う。だって舞依ちゃんは謝りにきてくれたでしょ? まだわたしの好きな舞依ちゃんでいてくれたでしょ?」
「緋色……」
 緋色は舞依の体をそっと起こし、そして抱き締めた。
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緋色も舞依ちゃんもなんて良い娘なのッ!?

こんな娘達にちょっと憧れちゃいます(;^_^


ちゅか、やっぱりあの時の記憶ってゆーか、感覚みたいなのは残ってるのかなぁ?


むぅ、、、とにかく続きが気になりますヽ(´▽`)/

No title

 緋色も舞依も正直すぎですね。
なんというか心にウソがない?

まだまだ何か…

っていう感じがして、ちょっとドキドキです。

でも! 女の子同士の絡みって、なんだか和むなぁ…(^^)
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